TOP > メディア掲載記事 > 日本経済新聞 H25.01.08

メディア掲載記事

「地域と成長」起業家奮う 実績携え全国・海外へ

日本経済が底をはう「失われた20年」に産声を上げた静岡のベンチャー企業の経営者たちは、地味だが着実に次の20年につながる事業を芽吹かせている。苦環を知る彼らの経験値に、静岡復活のヒントがある。

介護サービス、インフィック(静岡市)の増田正寿社長(45)。12年前、同業大手の幹部として従業員のリストラを経験し、永続性のある介護を目指して起業した。決して景気は良くなかったが、「経済的に豊かで人間性も温厚な静岡という土地が、創業を支えてくれた」と振り返る。

同社の事業は介護施設の運営とコンサルティングなどの介護事業者向けサービスの2本柱。施設を運営する中で見つけた問題点を新たな市場のニーズと捕らえ、新サービスを生み出す。

例えば、宿泊施設などの段差の有無などを調査する高齢者向けの旅行支援サービスは、要介護者の「旅先の情報が不足しているから旅行はあきらめている」との声から生まれた。一方、コンサルティングを通じて知る他社の課題を、自社の現場に落とし込む。

今月1日には東京事務所を開設した。地域と育んだ事業モデルを全国、海外へと広めるためだ。「これからは自分達の世代が下の世代を引っ張って時代を切り開かなければいけない」と決意を新たにしている。

タイで交流活発

日本食が好きなタイ人の間で定番のブログサイトがある。シーポイント(浜松市)が運営する「ナムジャイ」だ。タイ国内の1千店以上の情報をタイ語で掲載。フェイスブックから「いいね」が4万以上集まった。

4年半前に進出してから現地法人の伊禮喬太代表(34)らは試食会を毎週開催するなど、タイ人との交流に走り回った。こうした地道な取り組みで、消費者や事業者の信頼を得た。

ネットでの情報発信だけでなく、地域住民が直接交流する機会を設ける戦略は、野澤浩樹社長(50)が1996年の起業から貫いてきたことだ。「出会いが新しい価値を生む」。2005年に浜松で立ち上げたブログサイト「はまぞう」も試食会やセミナーを重ねて拡大を続ける。

同じ時期に起業し、ゲームで急成長した企業もある。それでも野澤氏は「地域とともに成長する企業でありたい」とこだわった。時間はかかるが地域に必要な存在と認められれば、自然と事業は拡大する。タイでは外食にとどまらず、日系企業から市場調査の依頼が後を絶たない。

震災関連次々と

村山邦彦社長(49)が99年に設立したアバンセシステム(同)の本業は制御ソフトの開発だが、ここ数年は新規事業に挑む。キーワードは「円高」と「震災」。いずれも地域を悩ます問題だが、「軽減できる仕組みを作れば需要が生まれる」との発想だ。

災害時の安否確認システムの販売の販売を始めたのに続き、向上などの電力消費量監視システムの開発に取り組んでる。

「静岡は商圏としても恵まれた街。悲観せず、発想を変えれば成長の芽はある」。村山氏はともに地域再生を担う企業家との連携を模索する。

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