TOP > メディア掲載記事 > 沖縄タイムス H24.02.24

メディア掲載記事

医療観光と物産拡販探る


沖縄タイムス海外視察団(団長・豊平良孝沖縄タイムス社長)は14日から17日まで、医療ツーリズムの県内展開や県産品の販路拡大の可能性を探るため、タイ・バンコク市を視察した。金融、流通、食品関係など県内企業29社39人が、バンコク病院メディカルセンターやシーポイントタイランドを訪問。同センターで活躍する県出身の仲地省吾医師から医療ツーリズムの先進事例を、てぃーだスクエアの嶌田浩司会長からタイ市場の現状を学んだ。視察で見えたビジネス展開のヒントや課題を報告する。

(この文章は沖縄タイムス・政経部・榮門琴音さんが担当しました)

増える外国人患者 - 最新機器導入し呼び水 -

治療や健診を受けるため、国境を越える医療ツーリズム。先進的な取り組みで知られるタイには、高い医療技術を求める多くの富裕層が近隣諸国から訪れている。日本にはない最新医療機器をいち早く導入し、それを呼び水に外国人患者を招き、外貨を稼ぐ。タイに医療目的で訪れた外国人は年間200万人(2010年)に上り、入域観光客の1割を超える。

言語26通訳80人

視察した私立バンコク病院グループのバンコク病院メディカルセンターには1日450人の外国人患者が訪れる。明るく開放的な院内に飛び交う多言語。外国人患者を迎えるのは26言語に対応する通訳約80人や、4カ国・地域別の専門クリニックのきめ細かなサービスだ。院内にはアラブ、日本、ミャンマー、その他諸国と各市場ごとのカウンターがあり、専門スタッフが対応する。各市場ごとのマーケット部は旅行会社へのアプローチやセミナーへの出展で外国人患者の呼び込みに注力。年間売り上げの目標伸び率も課されている。

富裕な外国人患者を受け入れることで新たなビジネスも生まれている。同センター近隣には、外国人患者に付き添う家族をターゲットにしたホテルが開業。同センター日本市場担当の田中耕太郎マネジャーは「3カ月から1年の長期滞在者もいる。どちらもウィンウィンの関係になっている」と説明する。

日本との違いは

医療ツーリズムによる誘客や地域振興が期待される中、豊富な観光資源を有する沖縄も取り組みを始めている。ただ、外国人患者の呼び込みに成功しているタイと日本とでは、医療制度や医療ツーリズム推進の理由に根本的な違いがある。タイの医療関係者によると、日本の場合は外国人観光客の呼び込み、タイの場合は医療機関のビジネスが目的で医療ツーリズムの出発点が異なるという。

同センターに勤務する名護市出身の仲地省吾医師は、外国人患者を受け入れることでビジネスが生まれる一方、地方との医療格差が広がる問題もあると指摘。「タイ国内では外国人を診療している場合ではないという声もある。日本の利点は医療技術の高さと地域格差がないこと。この視点を持ちながら医療ツーリズムを考えてほしい」と提案した。

沖縄県産品の販路拡大

トヨタ、マツダ、日産―。
バンコク市内に入ると日本車の多さが目に付く。関税が150%〜200%と高いにもかかわらず、「メードインジャパン」への信頼は厚く、日本車は全体の9割を占めるという。ローン「84回払い」で中間所得層にも手が届くようになった、と地元ガイドは説明する。沖縄県産品を受け入れる土壌も拡大、「いいものは売れる」可能性が広がっている。

現地法人として2008年に開業したシーポイントタイランド(バンコク市)は県産品の販路拡大事業を展開している。関連会社てぃーだスクエア(浦添市)の嶌田浩司会長は「タイでは中間所得層の増加で日本商品を受け入れる土壌が急速にできている。高いから売れないではなく、高くても買う人はいる」と県産品の可能性を強調する。

古酒を売り込む

シーポイントタイランドはタイに特化したポータルサイト「ナムジャイブログ」で、タイに興味を持つ人の情報発信・取得や交流を促してコミュニティーを形成し、県産品の市場調査や商品開発に役立てている。

同社の城間進マネジャーは、県内酒造会社が高い古酒をタイ市場に売り込んでいる事例を紹介した。

タイではタイ米で造られる泡盛は「おいしくない」という先入観があり、県内酒造会社も「売れないだろう」と思い込んでいるという。だが、製造工程の工夫でおいしい泡盛ができていると説明するとバイヤーや飲食店は目の色を変える。「伝え方をきちんとすれば売れる。高くても買う人がいるから古酒の販路拡大にも可能性がある」と説いた。

物流ハブの利用

てぃーだスクエアは那覇空港の沖縄国際航空物流ハブ事業を利用したビジネス展開を視野に、県内小売店を対象にしたタイ市場視察と買い付けを提案している。嶌田会長は「情報、物が流れると人も流れインバウンドにつながる。県産品の販路拡大は大変な作業だが、タイ市場のリサーチ業務を地道にしていきたい」と言う。

現状ではタイの大手百貨店の物産展に県産品を出展するだけで、その後の輸出が続いていないという。城間マネジャーは「物産展への出展は次の段階で、輸出が続くような仕組みづくりが求められている」と課題を挙げた。

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